労働法コラム第5回「賃金(1) ー労働法が適用される「労働者」とはどんな従業員のこと?ー」 | 鹿児島 弁護士|弁護士法人グレイス 鹿児島県弁護士会所属

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労働法コラム第5回

賃金(1) ー労働法が適用される「労働者」とはどんな従業員のこと?ー

労働法

2016/08

弁護士:大武英司

賃金(1) ー労働法が適用される「労働者」とはどんな従業員のこと?ー

去る7月28日に当事務所主催の労務対策徹底強化セミナーの第2回を実施し、賃金についてご説明させていただきました。今月からしばらくは賃金をめぐる問題についてのコラムといたします。

賃金をめぐる問題を考えるにあたっては、まず「労働者」とは何かを検討することが必須となります。労働基準法は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所…に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。

この定義にあてはめる際に特に問題となるのは、①「使用される」とはどういう状況を指すのか②「賃金」とは何を指すか、の2点になります。今月のコラムではこの①の問題を考えてみます。

さて、雇用契約の本質は、労働者が労働に従事すること自体を約束するものであり、使用者が労働の具体的なやり方や内容について指揮命令をし、労働者はそれに従うという点にあります。この関係を「使用従属関係」といいます。

使用従属関係の有無は、労務給付の実態に即して判断されます。具体的には、(1)仕事の依頼に対して労働者に諾否の自由があるか、(2)勤務時間、勤務場所、業務遂行について使用者の指揮命令に拘束されるか、(3)会社の服務規律が適用されるか、(4)労務提供に代替性があるか、(5)報酬の性格が労務給付としての対価性を有しているか(源泉徴収を実施しているか)等が総合考慮して判断されます。

使用従属関係の有無が争われ、労働者でないと判断した判例としては、次のようなものがあります。

業務用機材であるトラックを自己所有しガソリン代、修理費、高速料金を負担していたこと、運送業務遂行に必要な指示以上の指示命令は受けていなかったこと、時間的場所的拘束が緩やかであったこと、報酬が出来高払いであり事業所得扱いをしていたことなどが考慮され「労働者」にあたらないとされた例があります。

また、大工が工務店から指揮命令を受けていたとは評価できず、報酬は仕事の完成に対し支払われたものであり、自己使用の道具を持ち込んでいることなどが考慮されて労働者性を否定した判例もあります。

使用者側としましては、賃金をめぐるトラブルに遭遇した場合、未払賃金があるのかを検討する以前に、そもそも賃金支払の対象となるのかを検討することが何より必要です。使用従属関係がない場合には「労働者」とはいえないことから、もはや残業代や割増賃金といった「賃金」固有の問題は生じないこととなります。

いざトラブルが生じた場合であっても、未払賃金の問題であると即決せずに、是非当事務所にご相談ください。

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