賃金の削減についてのQ&A
Q 従業員1人あたりの賃金を削減することでコストを抑えるためにはどうすべきか?
投稿日:2020/05/01
更新日:2020/05/06
更新日:2020/05/06
賃金の額は労働条件の根幹部分ですので、使用者側がその額を一方的に削減することは労働条件の不利益変更にあたり認められません。もちろん従業員との真摯な合意に基づき雇用契約を変更することは可能ですが、そのような合意が現実的に可能なのかどうかという問題があります。
そうすると、次に考えられるのは、時短勤務やテレワーク等を駆使して、労働時間そのものを一時的に短縮することにより、その短縮部分に相当する賃金を減額するという方法です。この方法は、一見するとノーワーク・ノーペイの原則から認められそうにも思われますが、従業員にはもともと締結していた雇用契約上の労働時間だけ労働できる権利及びそれに相当する賃金を受け取る権利がある訳ですので、やはり不利益変更になり得ます。
もっとも、一定期間、労働時間を短縮することによりその短縮する部分の賃金を下げる方法は一定の合理性が認められるうえ、必ずしも従業員の受ける不利益の程度が高いともいえません。従いまして、従業員に説明のうえ、この方法をとることは現実的であり、かつリスクも少ないものと考えられます。