テレワークの導入に必要な手続きについてのQ&A
Q 従業員が通勤のために公共交通機関を使用しており、新型コロナウイルスへの感染リスクを抑えるために、テレワークを導入したいと考えています。テレワークを導入するにあたって、就業規則の修正等は必要でしょうか。
更新日:2020/05/06
労働条件に変更がなければ、必ずしも就業規則の修正は必要ありません。しかし、労務管理や通信費の負担など通常の勤務とは異なる点が存在するのであれば、就業規則を修正する必要があります。
また、テレワークをこれまで実施したことがない場合、テレワークに関するルールが不明瞭となるおそれがあるため、基本的には、テレワークに関する規程を新たに作成することをお勧めします。
(1)テレワークとは、一般的に情報通信技術(I C T)を活用し、自宅や事業所とは異なる場所で仕事をすることをいいます。
また、テレワークの種類としては、自宅で仕事をする在宅勤務、仕事の移動中やカフェ、空港のラウンジなどで仕事をするモバイル勤務及び本拠地のオフィスから離れた場所に設置したオフィスで仕事をするサテライトオフィス勤務とがあります。
また、テレワークの導入により、通勤時間の短縮や育児・介護と仕事の両立などのメリットがあります。
そして、育児・介護と仕事が両立できるとなれば、これまで育児・介護を理由として就業をできなかった人も働けるようになり、人手不足解消の一助となるといえます。
(2)テレワークを導入するにあたっても、当然、労働基準法等の労働基準関係法令が適用されます。そのため、テレワーク導入にあたっては、これらの法令を遵守するためのルールが重要となります。
まず、会社は、従業員に対して、雇用契約締結時に労働条件を明示しなければなりません。そして、明示の対象として、就業の場所も含まれます。
そのため、在宅勤務の場合には、就業場所として従業員の自宅を明示する必要があります。既に雇用契約を交わしている場合には、雇用契約書の記載から、就業場所の変更が可能と解釈できない時は契約書の内容の修正も検討すべきです。
また、会社は、労働時間を適正に管理する義務を負っているため、従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する必要があります。
テレワークは事業所での業務とは異なり、事業所の外という会社の目が直接届かない場所での業務となります。そのため、始業終業の時間の記録の方法なども自然と異なってくる考えられることから、労働時間の管理についてのルールも策定する必要があります。
就業規則についても、労働時間やその他の労働条件を変更するのであれば、変更が必要です。
特に、テレワークを命じるための根拠規定やテレワークをする場合の通信費及び情報通信機器等の費用負担について規定がない場合には、就業規則にこれらの規定もあらかじめ定めておく必要があります。
その他にも会社で管理している情報を持ち出すことも想定されますので、その管理に関する規定も必要となってきます。
(3)以上の通り、テレワーク特有の問題があるため、ルールの明確化という意味でもテレワークに関する規程を別途作成することをお勧めします。
なお、テレワーク導入するに関する助成金制度も存在しますので、就業規則等の修正とともにご相談いただければと思います。