コロナ対策Q&A
Q 新型コロナウイルスが原因で売上が激減しています。そのため、このままの人数の従業員の雇用を継続するのは難しい状況です。そのため、従業員の解雇を考えていますが、従業員を解雇しても問題ないでしょうか。
更新日:2020/05/06
売上の減少等の業績が悪化しているからといって当然に解雇が認められるわけではあります。解雇を回避する方法を検討して、それでも解雇せざるを得ないといえるか等慎重な判断が必要です。
(1)期間の定めのない雇用契約を締結している社員(いわゆる正社員)について
従業員の解雇については労働契約法の制限があり、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」(労働契約法16条)となります。
そして、本件のように売上の減少等の経営上の理由で人員削減による解雇(いわゆる整理解雇)を行う場合には、従業員の落ち度による解雇ではないため、より厳格に解雇の有効性が判断されます。整理解雇の有効性については、一般的に以下の4つの要素を考慮して判断します。
・人員整理の必要性
・解雇回避努力義務の履行
・解雇する従業員選定の合理性
・手続の相当性
具体的には、新型コロナウイルスによる売上の減少等が存在する以上、人員整理の必要性については認められる可能性が高いと考えられます。
しかし、解雇回避努力を尽くしたかという点は、特に慎重な判断が求められます。
経費の削減、役員報酬の削減、新規採用の見直し、配置転換、休業、残業の抑制、賃金等の引き下げ、希望退職の募集等、解雇を回避する為にいかなる手段を講じることができるかを会社は検討しなければなりません。また、新型コロナウイルスの影響により休業した場合の休業手当については、雇用調整助成金等の公的支援を受けられる場合があります。その他にも受けられる支援があればその利用を検討もする必要があります。このような制度を利用しているかも解雇回避努力を尽くしているかを判断する上で重要といえます。
さらに、解雇する従業員の選定についても合理的な基準が必要となります。具体的には、勤務成績、年齢、勤続年数等が基準として考えられます。最後に、従業員に対して、解雇の必要性、解雇回避の措置、解雇対象者の選定方法及び退職の際の条件等について誠実に説明することが必要です。
以上の通り、整理解雇を実際に行うかは、4要素を踏まえて慎重に検討し、判断することが重要となります。
(2)期間の定めのある雇用契約を締結している社員(いわゆる契約社員やパートタイマー)について
期間の定めのある雇用契約を締結している社員(以下「契約社員等」といいます。)の解雇については、
雇用契約を締結している社員(以下「契約社員等」といいます。)の解雇については、「使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」(労働契約法17条1項)
という制限があります。
以上の通り、「やむを得ない事由」の存在が必要なため、正社員を解雇する場合よりもより厳格な判断が必要となります。そのため、契約社員等については、解雇ではなく、期間満了による契約終了(いわゆる雇い止め)を検討することが望ましいといえます。