コロナ対策Q&A
Q 現在、新型コロナウイルスの影響により、雇い入れ時の健康診断ができない状況になっています。そのため、雇用後に健康診断を行い、仮に今後の業務を行えないような病気が発覚した場合に、職種の変更や解雇をすることはできるのでしょうか。
更新日:2020/05/06
職種の変更については、変更後の職種が契約の内容の範囲内であり、かつ、健康診断の結果により当初予定されていた業務ができないと判断すること及び変更後の職種の妥当正が認められれば職種の変更は可能と考えられます。
しかし、解雇については、健康診断のみを理由で行うことには慎重な判断をする必要があり、簡単には認められないと考えられます。
(1)まず、会社は、従業員を雇い入れる際にその従業員について健康診断を実施しなければなりません(安全衛生法66条、同法規則43条)。しかし、現在、新型コロナウイルスの影響があり、健康診断が入社までに行えないという事態も生じています。
なお、これについては、令和2年3月11日付け基発0311第3号通達により一定の場合には、令和2年5月末日までの間、実施期間を延期しても差し支えないとされています。
(2)次に、就業規則等に根拠規定が存在すれば、職種の変更は原則として可能であると考えられます。ただし、職種の変更について無制限に認められるわけではなく、雇用契約書の従事する業務の内容の範囲内という制限はあります。また、業務上の必要性を欠く場合には違法となります。
たとえば、職種の変更の目的が不当な場合や変更後の職種が従業員にとって不利益が大きい場合などです。そのため、変更後の職種の選択については熟慮が必要です。
(3)解雇については、労働契約法の制限があり、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」(労働契約法16条)となります。
そのため、単に健康診断の結果のみをもって解雇することはむずかしいと言わざるを得ず、慎重に解雇をするかについては判断しなければなりません。
なお、雇用契約に試用期間が定められている場合には、本採用拒否ということも場合によっては選択肢となります。しかし、解雇であることには変わりがありませんので、同様に慎重な判断が求められます。