顧問チャット活用実例
従業員への貸付金を給与から天引きする際の注意点
更新日:2024/07/23
気軽に弁護士に相談できる「顧問チャット」でいただいた
興味深い内容をご紹介いたします。
現在、社員にお金を貸し、給与から天引きで返済してもらうことを検討中なのですが、注意すべき点はありますか?
X社様
労働基準法24条は「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定めており、これは賃金の「全額払いの原則」と呼ばれるものです。
したがって、賃金から貸付金を天引きすることは、この「全額払いの原則」に反する可能性がありますが、この原則も一定の例外があります。
まず、就業規則や労使協定において給与からの天引きが認められた費用などについても、合法的な天引きが可能です。
さらに、労働者の自由意思による相殺への同意がある場合には、労働者の保護に欠けるところはないとして、給料からの天引きが認められると判例上解されています(最判平成2年11月26日)。
もっとも、真に自由意思による相殺への同意があることを客観的にしておくために、書面を作成しておいた方が宜しいかと存じます。
なお、民事執行法第152条第1項2号の「差押禁止債権」として「給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない」とされておりますので、天引きできる金額は最高でも給与の4分の1に収まるようにしておくべきといえます。
回答した弁護士
弁護士赤島 篤
今回は、従業員への貸付金を給与から天引きする際の注意点に関するご相談をいただき、ご回答を差し上げました。
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