企業法務コラム
【2025年施行予定】建設業法等改正とは?改正のポイントと事業者に必要な対応について分かりやすく解説
更新日:2025/02/27
【2025年施行予定】建設業法等改正とは?
建設業・工事関連業務に関連する企業を経営される皆さまにおかれましては、2024年6月7日付けで「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」が成立したことをご存じでしょうか?
この法律により、2025年中に、建設業法等の施行(成立日から1年6か月を超えない日に施行されます。)がなされる見込みです。この改正は、主として、建設業に携わる労働者の処遇改善をポイントとしたものとなります。以下では、この点について解説いたします。
建設業法等が改正される背景
昨今、建設業者においては、建設業に従事する労働者の高齢化が問題になっています。これは労働者の処遇が厳しいことに起因しています。昨今の働き方改革が進む情勢に反して、未だに建設業界の労働実態としては、どうしても長時間労働の問題が解決されていないのです。これによって建設業界全体の不人気の問題が生じてきています。
このため、建設業界全体の高齢化が進み、建設業界の生産性が下がっていくことも懸念されています。
建設業はインフラ的側面もありますので、このような流れが続いてしまいますと、日本全体に大きな影響を生じていくことも考えられます。このような影響が憂慮されたことで、この度の建設業法等の改正がなされるに至りました。
建設業法改正のポイント
このように、建設業法改正のポイントは、労働者の処遇改善・資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止を図ることで建設業に関わる労働者の保護を図るとともに、働き方改革と生産性向上を目的とする改正になっています。政府は、この改正によって建設業の担い手(特に若手)が増加することを狙っているといえるでしょう。
建設業法等の改正のポイントは、以下のとおりとなります。
労働者の処遇改善
まず、労働者の処遇改善のために、以下の改正がなされました。
① 建設業者に対し、労働者の処遇確保を努力義務として課し、当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表すること(建設業法25条の27第2項)
② 労務費等の確保のために、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者・注文者の双方に対し、著しく低い労務費等による見積書作成・変更依頼を禁止すること
※「著しく低い労務費」がどの程度の労務費を指すかについては、中央建設業審議会によって、標準的かつ適正な労務費が示される見込みです(同法34条2項参照)。
※建設工事を請け負う建設業者に対し、材料費等が記載された見積書を交付する努力義務が定められています。この際、当該建設工事を施工するために、通常必要と認められる材料費などの金額を著しく下回る代金によって見積書を作成・変更することが禁止されました(同法20条2項、6項)。
③ 受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止すること
※当然のことではありますが、通常必要とされるような原価に満たない原価割れの契約は禁止されます(同法19条の3)。
資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
また、資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止のため、以下の改正もなされています。
① 資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象がある場合に、請負契約の締結までに受注者から注文者にリスクを通知するよう義務化すること(同法20条の2第2項)
② 資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化すること
※昨今は資材高騰等の価格変動が急激に起きる時代ですので、当初の契約時に資材高騰等が起きた際の請負代金変更の算定方法を定めることが義務化されました(同法19条1項8号)。
③ 注文者に対し、上記①・②リスク発生時に誠実に協議に応じることを努力義務化すること(同法20条の2第3項、4項)
働き方改革と生産性向上についての改正
最後に、働き方改革の実現と生産性向上のため、以下の改正もなされました。
① 長時間労働を抑制するために、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止すること(同法19条の5第1項)
※請負業者側が無謀な工期を設定すること(工期ダンピング)も禁止されますので、これによって請負業者における労働者保護も図られます。
② ICT活用等を要件として、現場技術者に係る専任規制や公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化すること(同法26条3項、26条の5。公共工事適正化促進法15条)
③ ICT活用による現場管理の「指針」を作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対して効率的な現場管理を努力義務化すること(建設業法25条の28)
事業者に必要な対応
このように、非常に多くの点について法改正がなされることになりますので、事業者に必要とされる対応も多岐にわたります。特に、今後、中央建設業審議会によって示される標準的かつ適正な労務費を踏まえた検討や、国によって示されるICT活用による現場管理の指針に鑑みた対応などを行うことも求められていきます。
以下、事業者に必要な対応を示しますが、ご不安な建設業者の方は、弁護士に相談なさったり、顧問弁護士を付して適時に適切な助言を受けられる体制を整えたりされることをお勧めいたします。
「労働者の処遇改善」についての対応
まず、「労働者の処遇改善」について必要とされる対応からご紹介します。
建設業者は、中央建設業審議会が示す「標準的かつ適正な労務費」を随時確認しながら、労務費を、著しく低いと評価されないように注意しながら設定していく必要があります。また、労務費のみならず、材料費等の各種経費についても、通常必要とされる金額を著しく下回る見積もりを出さないように注意する必要もあります。もちろん、原価割れの工事代金設定をすることも禁止されます。
このように、請負代金について見積もる場合・契約する場合には、労務費が圧迫されるようなことのないように、工事代金について細かく適正な価格設定・計算をする必要があります。この点については、実際に見積もりを作成したり契約書を締結したりする営業担当者・決裁権者に共有・周知することが必須といえるでしょう。
「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」についての対応
次に、「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」について必要とされる対応からご紹介します。
建設業者には、資材高騰など、請負代金・工期に影響を及ぼすリスクについて、適宜情報を整理しながら、注文者に情報提供する必要があります。また、実際にこのリスクが顕在化した場合には、注文者と誠実に協議することも求められます。更に、請負契約時点において、資材高騰等のリスク発生時にどのように請負代金が変わるのか、計算方法を事前に明示しておく必要もあります。
このように、上記の「労働者の処遇改善」同様に、資材高騰によって労務費が間接的にでも圧迫されることのないように、建設業者において注文者との情報共有・協議をすることが必要とされるのです。資材高騰などが起きても適正な請負代金が支払われることを担保し、これによって労務費が圧迫されることを防ぐ義務が課されたということができます。
この点は、基本契約書を作成する総務担当者・法務担当者などに共有・周知することが必要です。
「働き方改革と生産性向上について」についての対応
最後に「働き方改革と生産性向上について」について必要とされる対応からご紹介します。
建設業者には、国が発出するICTを活用した現場管理指針を随時確認しながら、専任の監理技術者の常駐を緩和するなどの省コストを図り、労働者の負担・労働時間を減らしていくことが求められます。特に公共工事施工時には、ICTを活用した施工体制確認ができれば施工体制台帳の提出も不要となりますから、ICT活用によるコストカットに注力すべきといえます。
この点は、まさに建設業者の経営者が主体的に取り組むべき問題といえるでしょう。自社にICT活用システムを導入することで、コストを減らし、その分労働の効率化を図ることが期待できます。これによって個別の労働者の負担を軽減し、業界全体の担い手確保に繋げていくことが求められているのです。
まとめ
以上のとおり、2025年施工予定の建設業法等の改正内容についてご説明しました。建設業界全体の担い手不足・高齢化は非常に深刻で、国は前のめりに対策に取り組んでいるといえます。
今後の継続的な制度改定・法律改正も見込まれる分野ですから、労務費に関する適切な対応が分からない方・お悩みの方は、ぜひ、当事務所にご相談いただくとともに、顧問契約もご活用いただければと思います。
監修者
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