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企業法務コラム

契約不適合責任とは?期間や免責など売主が知っておくべき内容を弁護士が解説

投稿日:
更新日:2025/03/05

契約不適合責任とは?

 「契約不適合責任」という言葉をご存じの方は、最近では多くなってきましたでしょうか。

 売買契約を締結する際に、売主が問題のある物品(契約内容に不適合な部分がある物品)を買主に引き渡した場合、一定期間の間、買主がその責任を問うことができます。これが、契約不適合責任です。

 2020年4月に民法の大改正がなされる前は、「瑕疵(かし)担保責任」と呼ばれていた概念が、契約不適合責任として規定し直されました。これ以降、特に売買契約・請負契約を締結する際には、契約不適合責任の有無・内容と、契約不適合責任の免除特約が付されていないかの確認をすることが重要なリーガル・イシューとなっています。

契約不適合責任が適用される例

 ちなみに、契約不適合責任は、どのような例に適用されるのでしょうか。

 例えば、以下のような事例では、契約不適合責任が問われる可能性があります。

  • ① 売買契約において、引き渡した物品の数量・種類に誤りがある場合
  • ② 売買契約において、契約上予定されていた品質に満たない物品を引き渡した場合
  • ③ 売買契約において、引き渡した物品に、欠陥部分があった場合

 これらの場合には、買主から契約不適合責任を問われ、⑴損害賠償請求、⑵瑕疵修補請求、⑶代替物引渡請求、⑷代金減額請求などの各種請求をされたり、契約自体を解除されたりすることがあります。仮に、売主側に契約不適合が存在することについて故意・過失がなかったとしても、損害賠償請求以外の各種請求は受ける可能性があります。

 売主としては、このようなことのないように引き渡す物の内容について精査する必要に迫られるのです。

契約不適合責任の期間と時効について

 契約不適合責任には、以下のとおり、期間制限があります。事例ごとに若干期間制限の違いがある点に留意が必要です。

契約不適合責任の期間の基本

 契約不適合責任を問うためには、一定期間内に、買主から売主に対し、契約に適合しない部分があったことを通知する必要があります。この通知がなされないままに所定の期間が経過すると、契約不適合責任を問う時効期間が経過してそもそも契約不適合を問われるリスクがなくなりますので、売主も安心することができます。

 しかしながら、この契約不適合部分の通知をしなければならない期間制限は事例ごとに異なりますので、以下のとおり、ご紹介します。

民法における契約不適合責任の時効

 まずは、いずれの契約当事者も、営業行為として売買等を行っていない個人同士の場合について確認します。

売買契約の場合

 個人同士の売買契約の場合には、契約不適合責任を問うための期間は、買主が契約不適合を知った時から1年間とされます(民法566条)。

請負契約の場合

 個人同士の請負契約の場合には、契約不適合責任を問うための期間は、注文者が契約不適合を知った時から1年間とされます(民法637条1項)。

商法における契約不適合責任の時効

 他方で、契約当事者のいずれかが、営業行為として売買等を行っている個人・法人(「商人」といいます。)であった場合には、その契約が商行為に該当して商法が適用されるため、契約不適合責任の時効期間が変わってきます。

売買契約の場合

 契約当事者のいずれかが商人であった場合には、契約不適合責任を問うためには、購入物品を受領してから、遅滞なく、その物品の検査をし(商法526条1項)、①契約不適合を発見した場合には直ちにその旨を通知し、②又は契約不適合を直ちに発見することができなくとも、買主が契約不適合受領後6か月以内に契約不適合を発見して直ちにその旨の通知をする必要があります。

 商人間の売買であれば、通常、購入物品の検品を行えますから、直ちに、又は受領後6か月以内に契約不適合を発見し、遅滞なく通知しなければ契約不適合責任を問うことができなくなるものとされているのです。

請負契約の場合

 契約当事者のいずれかが商人であるだけでは、個人同士の場合と差がありません。

 他方で、住宅を新築する建設工事の請負契約を締結した場合には、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分(柱など)又は雨水の浸入を防止する部分(屋根など)の問題については、責任を負うこととなります(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条)。建設業者は、住宅新築工事に関しては、請負人が責任を負う期間が長くなっていることに注意する必要があります。

契約不適合責任の免責について

 このように、売主は、ある程度の期間、契約不適合責任を負うかもしれないという緊張感・リスクを背負うこととなります。それでは、契約書において契約不適合責任を免除することはできないのでしょうか?

免責特約の有効性

 結論から申し上げますと、契約書において「売主は契約不適合責任を負わないものとする。」などとの契約不適合責任免責特約を設けておきますと、売主側が契約不適合責任を免れることができます(民法572条本文)。

 但し、当然のことではありますが、契約不適合を知っていたにもかかわらずその事実を買主に伝えなかった場合や、売主自らが売却物品を第三者に二重に売り渡した場合などには、契約不適合責任を免責する特約の効力が及ばないので、注意が必要です。

免責が認められない場合

 また、場合によっては、契約不適合責任の免責自体が認められない場合もあるので注意が必要です。

① 売主が事業者で、買主が個人である場合

 このような場合には、契約不適合責任を免責したり、契約不適合の通知期間を短くしたりすると、消費者契約法違反で無効となりますので注意が必要です。こういった事例では、消費者の保護が契約書よりも優先されます。

② 売主が宅建業者で、不動産を売却する場合

 この場合には、宅建業法40条により、契約不適合責任を不動産売却後2年間負うことが義務付けられるので、これ以上に保証期間を縮める特約は無効となります。なお、新築住宅の建設工事の場合は、上記のとおり、この期間が10年間に延びます。

契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

 ちなみに、契約不適合責任と、古い民法上の概念である瑕疵担保責任とでは、問題があった場合に買主が行使できる手段が異なります。契約不適合責任が遭った場合には、上記のとおり、買主は、⑴損害賠償請求、⑵瑕疵修補請求、⑶代替物引渡請求、⑷代金減額請求、⑸契約解除ができる旨が、民法上に明記されました。

 民法改正により、これらの手段をとられる可能性があることを念頭に置いたリスク管理が必要となったといえます。

売主が知っておくべき契約不適合責任のリスクと対策

 さて、売主が知っておくべき契約不適合責任のリスクと対策について簡単にまとめます。

売主が直面するリスク

 まず、売主が直面するリスクは、買主からあとで、上記のような各請求を受ける可能性が挙げられます。

リスク回避のための事前対策

 これらのリスクを回避するためには、①契約不適合責任を免除できる立場であれば、契約不適合責任を免除する、②契約不適合責任を後から問われないように、検収・検品手続を設ける、などの事前対策が必要となります。

 これらの事前対策は、契約書へ落とし込んでおくことが必須です。

トラブル発生時の対応策

 実際に契約不適合責任を問われる事態が発生した場合には、弁護士の助力を得ながら、①本当に契約不適合があったのか、②紛争を軟着陸させられる手段がないか、③訴訟まで起こされた場合の見通しはどの程度か、といった点を考慮しながら対応しておくこととなります。

 これらの対応を迅速に行うためには、平時から相談のできる顧問弁護士を依頼しておくと良いでしょう。

契約不適合責任を契約書に記載する場合の注意点

 契約不適合責任を契約書に記載する場合には、売主側では、「契約不適合」という言葉の定義に注意した上で、上述のとおり、①自分が契約不適合責任を免除できる契約類型であるのか、②契約不適合責任を免除できない場合には、民法・商法どおりの規定として良いのか、③契約不適合責任を問われた際にどのような対応をとるのか、といった点について注意することが必要です。

 ぜひ、これらの点については、専門家である弁護士にお任せいただくことをお勧めいたします。

契約書の作成を弁護士に依頼するメリット

 契約不適合責任を含む売買契約書・請負契約書は、以下の理由から、弁護士に依頼することをお勧めいたします。

専門的な知識によるリスク回避

 まず、弁護士に契約書作成を依頼することで、専門的な知識によるリスク回避が見込めます。上記のとおり、契約不適合責任ひとつ取っても、リスクと対策が必要となります。これに十全に対応できるのは、法律専門家である弁護士ならではといえるでしょう。

 また、契約不適合責任を免除するとしても、それが法令を遵守した規定になっていなければ、上記のとおり、無効となるリスクがあります。このリスクも、弁護士に契約書作成を依頼すれば回避することができます。

最新の法改正への対応

 また、瑕疵担保責任が契約不適合責任に改正されたように、今後も同様の法改正がなされることは充分にあり得ます。このような法改正への対応を迅速に契約書に反映するためには、弁護士の助力が必須といえるでしょう。

 この点については、顧問弁護士を就けることで、平時からアドバイスを受けながら適時の対応が取れると法的リスクを最小化できます。

トラブル発生時の迅速な対応

 もちろん、上記のようなリスク回避という視点のみならず、トラブルが発生してリスクが現実化した際に迅速な対応を依頼できる点も、弁護士に契約書作成を任せるメリットといえます。

 弁護士が契約書を作成していれば、契約書作成時に、トラブルが発生した際にどのような対応をとるべきか既に検討がなされています。このため、実際に問題が発生した際にも、弁護士に相談・依頼することで素早い対応をとることができ、被害を最小限に抑えることができます。

まとめ

 以上のとおり、契約不適合責任について、売主が知っておくべき内容についてご紹介しました。売買契約の売主側・請負契約の請負人側に立たれる方で、契約不適合責任を含む契約書作成をお考えの方は、ぜひ弁護士にご相談なさってください。

 当事務所の弁護士は、最新の法改正を踏まえた研鑽を積み続けています。ぜひ当事務所にご相談いただき、顧問契約もご利用いただけますと幸いです。あなたからのご相談をお待ちしております。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
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