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企業法務コラム

企業が採るべき パワーハラスメント対策

投稿日:
更新日:2019/10/27

労務問題・労働法

弁護士:岡本 明

企業が採るべき パワーハラスメント対策

1. はじめに

先月29日、国会にて、パワーハラスメント防止に関連する法案が可決されるなど、近年、法律上の規制が強化されてきております。一方で、会社が責任を負わなければならないのかという疑問や、従業員からの訴えに対し、企業として、どのように対処すればよいのか等、対応に苦慮している企業のご相談をお受けすることがあります。

2. パワーハラスメントとは

パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為とされていますが、以下の類型に分類がなされています(参考:「あかるい職場応援団」)。

①身体的な攻撃
殴る、蹴る等の暴行、傷害などが該当し得ます。

②精神的な攻撃
周囲の目前での叱責、他の職員全員宛のメールによる罵 倒等の、暴言、脅迫が該当し得ます。

③人間関係からの切り離し
職場の集まりに意図的に呼ばれない、ひとりだけ、 別室での 勤務を強要するなどの行為が該当し得ます。

④過大な要求
業務上、遂行不可能な業務の強制等が該当し得ます。

⑤過小な要求
業務上の合意性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低 い仕事を命じることや、仕事そのものを与えない行為が該 当し得ます。

⑥個の侵害
年次有給休暇や休日等における予定を不必要に聞くなど、 私的なことに過度に立ち入る場合が該当し得ます。

なお、パワーハラスメントは部下から上司に対するものも含まれることに、注意が必要です。
パワーハラスメントの問題は、企業に対して、損害賠償請求が認められ得るものとなります。以下、企業が採るべき措置について、列挙いたします。

3. 企業が採るべき措置

⑴予防
①周知・啓蒙
ハラスメントは、会社役員によるものだけではありません。 個々の従業員に対し、ハラスメントによる知識を周知、啓 蒙していくことが求められます。
②相談窓口の設置(義務)
事前に担当者を決め、相談体制の構築が求められます。

⑵対応
①事実関係の迅速な把握及び適切な解決措置の実行
調査には、迅速性と正確性が求められます。
また、仮に事実であると判明した場合には、懲戒処分等の 適切な措置を講じることが必要です。
②再発防止策の実行
再発防止策としてのルール作り、体制の見直し等、再発 防止策が求められます。

パワーハラスメントは、企業には採るべき措置が多くありますが、当該措置を実行するにあたり、従業員教育や窓口の担当者の設置対応、事実関係の調査方法等、具体的事例を熟知している必要があります。一度、弁護士に相談いただければと思います。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
https://www.kotegawa-law.com/

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