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企業法務コラム

第3回 親族内に後継者がいる場合(その2/遺留分)

投稿日:
更新日:2019/10/27

事業承継

弁護士:播摩洋平

親族内に後継者がいる場合

前回の続きになります。

オーナーに複数の子がおり、うち1名を後継者にする場合には、当然ながら、後継者になる子に対して、会社の株式を承継させることになります。会社の業績が好調である場合は、会社の株式の価値も高くなります。

オーナーに、会社の株式以外にも多額の財産があればよいのですが、そうではない場合には、遺留分の問題が生じます。

遺留分とは、相続人が複数名いる場合に、特定の相続人のみが多額の財産を承継してしまうと、他の相続人との間で不公平が生じるため、これを回避するための制度です。

会社の株式の価値が高くなると、会社の株式を相続した相続人(会社の後継者)が、結果として、他の相続人よりも多くの財産を相続することになります。

そうすると、他の相続人は、不公平を感じることがあり得ます。

そのような場合に、他の相続人は、会社の株式を相続した相続人(会社の後継者)に対して、公平な財産の分配を求めることができます。あくまでも権利ですので、行使するか否かは自由です。

従前の遺留分制度では、このような場合に、会社の株式そのものが、再分配の対象になっていました。そのため、オーナーとしては、1名の後継者に会社の株式を承継させたつもりであったにもかかわらず、実際には、子供間で、会社の株式自体に関する争いが発生するリスクがありました。

このようなリスクは、事業承継の見通しを不確実にするという点で、大きな欠点でした。

そこで、遺留分制度は、改正されました。

現在の遺留分制度では、主として、以下の点で改正がなされています。

相続開始前の10年間に行われた承継に限って、遺留分の対象にする。
⇒これにより、大昔に行われた贈与は、遺留分の対象にならないため、「過去の蒸し返し」リスクが下がります。
遺留分が発生するとしても、金銭の支払いにより解決することができる。
⇒「お金の支払」で解決できるため、上記のように、会社の株式の帰属そのものに争いが生じることはなくなります。

 

もっとも、遺留分自体を根本的に排除することまでは、現在の制度でも認められていません。そのため、オーナーに複数の子供がおり、うち1名を後継者にする場合には、子供間で、遺留分に関する争いが生じる可能性があること(=特に、会社の後継者は、遺留分に相当する額の支払原資となる現金を保持しておく必要があること)を、よく認識しておく必要があります。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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