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企業法務コラム

「副業・兼業を解禁するにあたっての注意点を解説」

投稿日:
更新日:2020/09/23

長期雇用を前提とする日本型雇用では、副業・兼業は禁止されるのが長年の慣行でした。しかし、働き方改革の中で、副業・兼業などの柔軟な働き方が推奨され、雇用慣行に変化が生じました。現在では、副業・兼業を認める企業も増えてきています。もっとも、副業・兼業を解禁するにあたって注意すべき点もあります。以下では、副業・兼業を解禁するにあたっての注意点を解説します。

【1】労働時間の管理
最も注意しなければならないのは、副業・兼業を行う従業員の労働時間です。労働基準法では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間の規定の適用については通算する。」と定められています。そして、この事業場には事業主を異にする場合も含まれます。この規定により、本業と副業の労働時間は通算されることになります。例えば、本業で法定労働時間の8時間を超えて勤務をしていた場合、副業は残業扱いとなるのです。割増賃金の支払リスクや従業員の健康管理に支障が生じるおそれがあるため注意が必要です。
実際に具体的な計算式を見ていただければ一目瞭然の結果となります。

【2】情報漏洩リスク
労働者が複数の事業主に雇用される場合、他の事業主で会社の機密情報を漏洩するおそれがあります。就業規則に情報漏洩に関する規程を設けるだけでなく、従業員への注意喚起が必要になるでしょう。

【3】競業禁止
労働者が同業他社で副業・兼業を行った場合、ノウハウ等が流出してしまい会社の不利益となるおそれがあるため、労働者には競業避止義務を課すことが一般的です。副業・兼業を解禁するとしても、労働者に対して競業避止義務について説明すると共に当該義務に違反しないよう注意喚起をする必要があります。

副業・兼業は、労働者にとっては所得の増加が期待できたり、主体的なキャリア形成が可能になったりするといったメリットがあります。一方で、企業にとっても労働者が社内で得られないスキルや経験を得て事業の発展に寄与してくれることを期待できます。しかし、実際に運用するとなると上記のように注意すべき点が多々あります。副業・兼業を解禁している、又は解禁を検討している経営者様は、一度専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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