企業法務コラム
副業・兼業の分かりやすい整理
更新日:2024/12/03
東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。
今回のテーマは、副業・兼業についてです。
今回は副業・兼業を分かりやすく整理していきます。まず、副業・兼業に正式な定義はありますか。
いいえ、副業・兼業に正式な定義はありません。簡単に言えば、1つの仕事だけでなく複数の仕事を行うことを広く副業・兼業と呼ぶことが多いでしょう。
最近は、副業・兼業といった言葉をよく聞くようになりましたよね。
そうですね、副収入の獲得や自己実現等のために、副業・兼業を希望する方が増加傾向にあります。このような世相に対応するために、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、使用者と労働者それぞれの立場から注意すべき点を記載しています。
企業によっては、副業・兼業を禁止することも多いですよね。
まず、副業・兼業を一律に禁止する企業もあると思いますが、そのような運用は、過去の裁判例に照らしても相当ではないでしょう。許可制を取っている場合であっても、よほど合理的な理由がない限りは不許可とすることは相当ではないです。他方で、従業員の全体としての労働時間が過重になってしまうと、労災事故が発生する恐れもあります。使用者は「安全配慮義務」を負っていますので、従業員が副業・兼業の影響で業務遂行に支障をきたす恐れが具体化した場合には、副業・兼業を禁止又は不許可にできるようにしておくべきでしょう。
確かに、副業・兼業に取り組む場合、どうしても長時間労働になりがちですよね。
そうです。しかも、使用者は、ある従業員が副業・兼業する場合、自らの事業場での労働時間と、他の事業場での労働時間の両方について通算管理しなければなりません。その結果、当該従業員が、他の職場で勤務した後に出社してきた場合、労働時間が通算される結果、思いもよらずに割増賃金の支払義務を課される可能性が有ります。
労働時間の管理については特に注意が必要という事ですね。その他にも使用者側の対応として、どのような点に注意すべきでしょうか。
一般的な就業規則では、従業員に対して、「秘密保持義務」「競業避止義務」「誠実義務」を課しています。使用者としては、従業員がこれらの義務に違反しないように、副業・兼業を希望する者については事前に届出を行うように規則を設けた方が良いでしょう。なお、仮に、従業員が、事前の届け出を怠った場合についても、職場秩序に影響せず、業務遂行にも支障がないようなケースでは、直ちに懲戒処分を下すことまでは認められていませんので、注意が必要です。
副業・兼業を行う場合の注意点が分かりました。今日もありがとうございました。
監修者
弁護士法人グレイス企業法務部
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