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労働基準監督署について弁護士が説明します

投稿日:
更新日:2023/12/22
労働基準監督署について弁護士が説明します

働き方改革以降、労働をめぐる社内の状況に頭を悩ませている事業主様は非常に多いのではないでしょうか。弊所も「従業員が労働基準監督署に駆け込んで相談しているようだ」「労働基準監督署により調査目的で立ち入りされた」等のご相談を受けることは頻繁にあります。これらは直ちに問題となる事象ではございませんが、事業主様が漠然とした不安を抱かれるきっかけになるのは当然です。

そこで、労働基準監督署(以下「労基署」といいます)がどのような役割を担っている機関であり、どういう権限を持っているのかについて説明いたします。

1. 労基署とは

労基署とは

労働に関する規制としては、労働基準法をはじめとする関係諸法令が挙げられますがこれらの規制を実効的なものとするために設けられている行政機関の1つが労基署になります。似たような機関に「労働局」がありますが、労働局は各都道府県に設置されるものであり、その各都道府県管内に設置されるものが労基署となります。

2. 労基署が有する権限

労基署には、労働に関する監督行政官である労働基準監督官(以下「監督官」といいます)が置かれています。そしてこの監督官には次のような権限が与えられています。

① 臨検・書類提出要求・尋問

① 臨検・書類提出要求・尋問

監督官は、事業場そのものだけでなく、寄宿舎やその他の附属建物に立ち入り、帳簿や書類の提出を求めたり、使用者や労働者に対して尋問をすることができる権限が与えられています。

先に「労基署により調査目的で立ち入りされた」とのご相談があると説明しましたが、これが「臨検」です。

臨検は必ずしも予告がされて行われるとは限りません。臨検では、事業場の状況、労働者の勤務状況等を確認するだけでなく、就業規則や労使協定書、労働条件通知書といった労働関係の書類等を確認することもあります。また、随時、使用者や労働者に対する聴き取りが行われます。

これらの調査確認ののち、監督官が必要と判断した場合には、是正勧告書等が交付され、指摘した問題点をどのように改善するのか、あるいは改善したのかの報告を求められます。

労働関係において必要な書面の整備につきましては、弊所がご相談を受けた際に助言させていただくことが多いですが、予期せぬ臨検が行われた場合にも問題なく対応できるよう、書面の整備は必須といえます。

② 労基法違反の罪についての司法警察官の職務

監督官は、労基法違反の罪に関しては、通常の警察官と同様、逮捕が可能なだけでなく、差押えや検証という証拠保全・収集活動や捜査そのものを行うことができる権限が与えられています。これらの権限発動が突然なされるというよりは、臨検等による是正勧告を行ったにもかかわらず、是正が何らなされていなかったり、労基法違反の程度が顕著な場合になされることが多いですが、監督官がこれらの権限をも有していることを念頭に置いて、労働環境を見直す必要があります。

3. 労基署による指導を受けた場合の対応策

労基署による指導を受けた場合の対応策

日々、労働条件や就労環境について配慮されていれば、仮に従業員が労基署に相談に行った事実があったとしても、それをもって直ちに問題になることはございません。もっとも、労働問題は申告を契機として発展するケースが多く、それが企業に対するイメージや風評だけでなく、リクルート活動による人材確保にも影響を与えることにより、企業へのダメ―ジが大きくなることが最も危惧されるところです。また、一度紛争に発展すると、他の従業員に対する悪影響もあることから、事前に防止することがもっとも賢明といえます。

弊所は、日々の各種労働関係書類の作成・精査にとどまらず、就労環境の是正や従業員研修等にも力を入れております。発生した紛争対応はもちろんですが、事前予防の観点からも弊所弁護士にご相談ください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
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