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ライセンス契約について

投稿日:
更新日:2023/12/21
ライセンス契約について

1. ライセンス契約について

ライセンス契約について

ライセンス契約は、ビジネスの様々な場面で使用される契約です。ライセンスの対象は、様々なものがあります。

ノウハウでいえば、技術的な事項のノウハウビジネスに関する営業上のノウハウをライセンスすることが典型です。他方で、知的財産権として保護されている権利をライセンスする場合もあります。例えば、特許・商標をライセンスすることが典型例です。

このように、ライセンスの対象は様々ですが、ライセンスをする側とライセンスを受ける側という構造は、同一です。ライセンスをする側をライセンサー、ライセンスを受ける側をライセンシーということもあります。

以下では、技術的なノウハウをライセンスする場面を想定して、ライセンスをする側の立場に立った説明をいたします。

2. 一般的なライセンス契約の構成

2-1. ライセンスをする対象の特定

ライセンス契約について

まず、ライセンスをする対象を明確にする必要があります。

登録されている知的財産権であれば、登録番号により特定をすることが可能です。他方で、ノウハウの場合は、知的財産権のように明確に特定をすることが難しいため、契約書上では、ある程度の概括的な記載にならざるを得ません。

技術的な事項のノウハウの場合は、例えば、以下のようなものがライセンスの対象になります。

  • 図面
  • 仕様書
  • 品質管理計画
  • 製造指示書

2-2. ライセンスの範囲

ライセンスをするにあたり、以下の点を決める必要があります。

  • ① どの地域でライセンスをするか
  • 独占的なライセンスを付与するか

①は、例えば、日本国内に限定するか、海外のどの国まで含むかといった点を検討する必要があります。

②は、独占的なライセンスを認める場合には、他の同業他社に重ねて同じライセンスをすることができないことを意味します。

一般的には、独占的なライセンスを付与する場合には、ライセンスを受ける側に対して、各種の義務が追加されます。例えば、ライセンス対象の技術を使用することにより一定以上の売上を義務として設定したり、ライセンス料の料率を高めに設定することがあります。

2-3. 品質基準

ライセンスをする側として、ライセンスを受ける側が、ライセンスしている技術を使用して、どのような品質の製品を製造しているかをチェックする必要があります。

例えば、ライセンスを受ける側に、以下のような情報を、一定の頻度で提出させる義務を課することがあります。

  • 前月の本件製品の数量
  • 製品の検査データ
  • 不良品の発生比率
  • 不良品の詳細

2-4. 指導員の派遣/研修者の受入れ

指導員の派遣/研修者の受入れ

ライセンスをすることと並行して、ライセンスを受ける側がライセンス対象の技術を正確に使いこなすことができるようにするために、ライセンスをする側が、指導員の派遣をすることがあります。

また、ライセンスをする側が、ライセンスを受ける側のメンバーを受け入れて、技術的な事項の指導を行う場合もあります。

いずれの場合でも、ポイントは、派遣する人数、期間、日当、交通費・宿泊費の負担等を明確に取り決めておくことです。

2-5. ライセンス料(ロイヤルティ)

ライセンス料(ロイヤルティ)

ライセンス料は、ロイヤルティとも呼ばれます。ライセンス料をどのように設定するかは、ライセンスをする側にとって、重要な関心事です。

ライセンス料の設定方法には、様々なものがありますが、典型的に使用されるのは、ライセンス対象の技術を使用して製造した製品の販売高をベースにして、その一定割合をライセンス料とする方法です。

この場合には、販売高から、関連して発生する税金、輸送費、保険等のコストをどの程度まで控除することを認めるかが、ポイントになります。また、ライセンスを受ける側が、製品の販売価格に値引きをしたような場合に、その値引き分をどのように取り扱うかもポイントになります。

また、ライセンスをする側としては、ライセンスを受ける側が、ライセンス料の計算をごまかしていないかを検証する機会を持っておく必要があります。そのため、ライセンスを受ける側に対して、一定の頻度で、関連する情報を提供させることがあります。

関連する情報の例として、以下のような事項があります。

  • ライセンスを受ける側が販売した製品の数量
  • ライセンスを受ける側が顧客から受けた注文の合計
  • ライセンスを受ける側が顧客に発行した製品の請求書の総額

これらの情報を定期的に入手することにより、ライセンスをする側として、事後的な検証の材料を保持できることになります。

2-6. ライセンスをする技術の帰属

ライセンスを行ったからといって、ライセンス対象の技術に関する権利を、ライセンスを受ける側に譲渡したというわけではないことを、契約書に明記しておくことがあります。

また、ライセンスを受ける側が、ライセンス対象の技術について、無断で知的財産権の登録等をすることを禁止する規定を設けることもあります。

2-7. ライセンスをする技術の保証

ライセンスをする技術が、第三者の権利等を侵害していないことを保証の対象とすべきか否かが、ポイントになります。ライセンスをする側としては、そのような保証をすることは避けたいということになります。

特に、海外の場合は、その国における競合技術の有無まで事前に調査できるわけではないため、このような保証をすることついて、より慎重に検討する必要があります。

2-8. 競業の制限

ライセンス契約が終了した後、一定期間について、ライセンスを受ける側が、ライセンス対象の技術を使用して、同種の事業を行うことを回避させる必要があり得ます。

ライセンスをする側としては、そのような競業行為を制限する必要性がありますが、広範な制限を課することは、無効とされるリスクがありますので、慎重な検討が必要です。

2-9. その他の規定

損害賠償、秘密保持、契約期間等の一般的な規定が設けられます。

3. まとめ

ライセンスをする側としては、自社にできるだけ有利になるように、契約条件を設定したいと考えますが、あまりにも一方的な契約条件を設定してしまうと、独占禁止法に違反してしまう可能性が出てきます。

ノウハウ対象の技術の漏えいや流用を防止する観点からは、ライセンスを受ける側に義務を課する必要がありますが、それを超えた過大な義務を課することは、独占禁止法上、問題とされることがあり得ますので、注意が必要です。特に問題になる可能性が高いものとして、以下の事項があります。

  • ライセンス対象の技術を用いた製品の販売価格を固定させること
  • ライセンスを受ける側が改良技術を開発した際に、その改技術に関する権利について、自動的にライセンスをした側に帰属させること

ライセンス契約は、豊富な経験を有する当事務所にご相談ください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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