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企業法務コラム

下請法と建設業

投稿日:
更新日:2023/12/21

建設業

1. 下請法の概要

本来、民事上の契約関係は全くの自由です。これは私的自治の原則の現れと言われ、国民の自由意思による契約締結を原則とし、国家による介入を最小限にする考え方です。

他方、私的自治の原則は、国民それぞれが同等のパワーバランスであることを前提とした理論ですが、実際の社会生活において“事実上の”パワーバランスは存在します。

下請法は元請業者・下請業者間に事実上のパワーバランスが存在することを前提として法律であり、両者間のパワーバランスを前提に、公平を図ること等を目的としています。

下請事業者を保護するため、下請法は①契約書面の交付(3条)②著しく低い下請代金の設定の禁止(4条1項5号)③契約に必要な用具等の購入を強制することの禁止(4条1項6号)等の規定を設け、これらへの違反には公正取引委員会からの勧告(7条)や罰則(10条-12条)も設けられています。

2. 建設業法の概要

建設業法は建設業許可を取得した建設業者の資質向上、建設工事の請負契約の適正化を目的とした法律です。

建設業を営む者間における事実上のパワーバランスに鑑み、私的自治の原則を一部修正して、特に(数次)下請業者を不公平な内容での契約から保護する点では下請法と類似点があります。

建設業法においても①契約書面の交付(19条)②不当に低い請負代金の設定の禁止(19条の3)不当な使用資材等の購入強制の禁止(19条の4)等の規定が設けられています。

これらの規定への違反に対しては、国土交通大臣又は都道府県知事による監督を受け(28条―32条)、罰則も設けられています(45条―55条)。

3. 下請法の建設業への適用

下請法は①製造委託②修理委託③情報成果物作成委託④役務提供委託の4類型を対象とした法律ですが(同法2条)、建設工事は原則としてこれらに該当しません。

以上のような関係から、「建設業者には下請法の適用はない」という言葉だけが一人歩きしていますが、建設業者には建設業法の適用があり、下請法と建設業法とはほとんど同一の規制があることから、文字通りに解釈をすることには慎重になるべきということをご理解いただけると思います。

4. まとめ

以上に見てきたように、建設業等、業法が存在する業種においては他の法律の適用関係など、複雑な関係性となっており、各業種に固有の知識が重要となります。

弊所では各業種において、それぞれ専門性を有した弁護士が所属しており、企業様の業種に応じた対応が可能です。

是非お気軽にお声掛けいただけますと幸いです。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
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