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企業法務コラム

経営の強い味方「変形労働時間制」

投稿日:
更新日:2024/08/27

東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。

今回のテーマは、変形労働時間制についてです。

相談者
相談者

今回は、変形労働時間制についてお聞きしたいと思います。

播磨先生
弁護士

変形労働時間制とは、1週40時間・1日8時間という労働基準法上の法定労働時間の枠を変更して労働をさせることができる制度です。実に6割近い企業が何らかの変形労働時間制を採用しています。

相談者
相談者

残業代の規制を避ける有効な手段ということでしょうか。

播磨先生
弁護士

はい。ただ、どの会社にも気軽に導入できるものではなく、しっかりと導入しないと逆に未払い残業代が発生しかねず、落とし穴のある制度でもあります。
変形労働時間制には、1週間単位、1か月単位、1年単位とありますが、最もメジャーな1年単位を例として解説することにします。
勘違いされがちなのですが、1か月を超え、1年以内の一定期間を対象とする場合でも、1年単位のルールが適用されます。例えば、3か月を対象とするケースでは、1年単位の変形時間労働制となります。

相談者
相談者

なるほど。どんな会社なら、変形労働時間制を採用することにメリットがあるのでしょうか。

播磨先生
弁護士

ずばり、繁忙期がはっきりしている会社です。建設業、事務職、学校や塾、変わり種では、結婚式場や百貨店等にも有効です。
建設業なら決算期との関係で12~3月、学校や塾なら夏休みから年明けまでの受験シーズン、結婚式場なら6月のジューンブライドや雨の日が少ない10月といった感じです。

相談者
相談者

導入すると、労働時間の規制はどのように変化するのですか。労働者の生活設計には、大きな影響を与えそうですが…。

播磨先生
弁護士

その影響の大きさから、①労働日数の制限、②労働時間の限度、③連続労働日数の上限が定められています。
例えば、3か月以内の期間を対象とする場合を見てみましょう。

①1年あたりの労働日数は313日まで

②労働時間の限度は、1日10時間、週52時間まで

③連続労働日数の上限は6日まで

このように、労働者の生活を害しすぎないように労働時間の規制があります。

3か月を超えてくると、さらに規制が厳しくなる、といった具合です。

相談者
相談者

結構細かいルールが定められているのですね。

播磨先生
弁護士

そうでしょう。そのほかにも、事業場の過半数代表者との労使協定と就業規則の定めが必要です。しかも、労使協定で対象期間中の労働日と労働時間等を定め、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。
労働日と労働時間の定めに関しては、①全期間を予め定めるか、②1か月以上の期間に分けて、少なくとも30日前までに事業所の過半数代表者の同意を得て、労働日と所定労働時間を定める必要があります。

相談者
相談者

事前に労働日と所定労働時間を定めるのは、管理に相当な労力を要しそうですね。そうまでしても、どうして導入する企業が多いのでしょうか。

播磨先生
弁護士

もちろん、適法に運用できた場合のメリットは大きいからです。変形労働時間制の枠内に収まる限り、割増賃金を支払うことなく、会社の営業実態に合わせた柔軟な働き方が可能となります。
閑散期の所定労働時間を1日8時間よりも短くする代わりに、繁忙期にしっかりとした営業ができるのです。

相談者
相談者

逆に、変形労働時間制のデメリットはなんですか。

播磨先生
弁護士

やはり、定めた労働日と所定労働時間を後から変更するのが難しいことでしょう。政府解釈では、休日振替をすることさえ困難です。
定めに従わない運用を日常的に行ってしまうと、変形労働時間制を適法に運用していないこととなり、労働基準法の原則である1日8時間、週40時間の制限に則って、高額の残業代請求をされてしまう可能性があります。
また、労基署に届出を行っている以上、違法な運用は労基署の介入を招くリスクもあります。

相談者
相談者

ルールが細かいことも踏まえると、適法な運用をするのはそれなりにハードルが高そうですね。

播磨先生
弁護士

変形労働時間制は、しっかりとした運用を行えば経営の強い味方になりますよ。導入を考えている経営者の方は、まずは弁護士に相談して、メリット・デメリットをしっかり把握することが非常に大事ですね。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
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