企業法務コラム
就業規則等の変更の必要性
更新日:2024/07/30
東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。
今回のテーマは、就業規則等の変更の必要性についてです。
相談者
はい、今回は就業規則等の変更の必要性を学んでいきます。就業規則等を変更する必要性は、どんな場合に生じるのですか。
弁護士
大きく分けて、①法改正がある場合、②会社内のルール変更に対応する場合、③助成金を申請する場合等が挙げられます。
相談者
①法改正がある場合とは具体的にどんな場合なのですか。
弁護士
毎年、大小の違いはあっても沢山の法律が改正・施行されています。
相談者
最近の法改正で、会社の就業規則等の変更に関わりそうな法律ってどんなものがあるのですか。
弁護士
2020年以降だけでも、労働契約法、雇用保険法、育児・介護休業法、女性活躍推進法、パワハラ防止法、個人情報保護法など、企業に関係する法律の改正がありました。法律の中で、企業に制度の導入義務を課している場合には、これに対応する規定の整備が不可欠となります。
相談者
なるほど。たしかに会社の制度にも影響しそうな法律ですね。②会社内のルール変更に対応する場合とはどのような場合なのですか。
弁護士
法律の改正に関係なく、社内の取扱いを変更する場合もあります。例えば、就業時間、賃金が変わった場合などもありますし、テレワークを含めた働き方改革など、会社内でのルールが変更となった場合、これに対応して社内規程類を整備しておかなければなりません。
相談者
なるほど。たしかに、働き方や勤務条件に大きく影響しそうなので、就業規則以外の社内規程も整備しなければいけませんね。次はイメージしにくいですが、③助成金を申請する場合とはどんな場合でしょうか。
弁護士
雇用関係の助成金の申請をする場合には、就業規則、社内規程の整備が義務付けられている場合が多くあります。また、国が何かを推進する際の助成金の場合には、社内規程の新たな作成も必要な場合があります。
相談者
どういうことですか。
弁護士
国や公的機関が会社に対して助成金等を出す場合、きちんと政策の目的に合致した会社である必要があるので、助成金を出す条件として、社内規程の作成や整備をする必要があるのです。
相談者
なるほど。目的がはっきりしているなら、修正も簡単そうですね。
弁護士
そうとも言えないのです。規程の種類、改定の内容により、改定のための手続が異なりますからね。特に。就業規則の改定は、労働組合や従業員の過半数を代表する者の意見を聴かなければならなかったり、従業員の同意が必要な場合や、所管の労働基準監督署への届出が必要な場合もあるなど、他の規程と異なる取扱いがあったり、簡単とは言い難いことも多いです。
相談者
そうなのですね。就業規則や社内規程は一度作ってしまえばそれで良いと思っていたけど、そうでもないのですね。
弁護士
相談者様と同じように考える人が多いのです。だけど、修正する必要性が生じる場面は意外と多いのです。就業規則や社内規程は、会社内のルールを明文化した非常に重要なものです。法律や会社の実情に合致していなかったら、修正しないと問題が発生しがちなのです。会社を守るためにも、問題が発生する前に定期的に見直す機会を持っておくことが大切なのです。
相談者
そうなのですね。ありがとうございました。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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