企業法務コラム
ハラスメント対策が義務化されます
更新日:2022/03/23
2022年4月1日より、中小企業主に対しても「パワーハラスメントの雇用管理上の措置」が義務化されます。
ここにいう「雇用管理上の措置」としましては、
①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
④これらに併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)
が挙げられております。
①から④に目を通しても抽象的で判然としませんが、大きく整理すると、①及び②はハラスメントの事前予防、③は事後対応、④はそれらの対応を通じて守られるべき措置について求められているといえます。
これらの措置をとるうえで、当然の前提となるのが、何が「パワハラ」にあたるのかの理解です。「パワハラ」とは、優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されるものと定義されています。この中でも「業務上必要かつ相当な範囲を超えたか否か」が非常に難しい法的判断となります。日々の業務における言動に注意すべきではあっても、必要以上に萎縮すべきではなく、迷われる場合には是非弊所にご相談ください。
さて、①の措置として代表的なものに、ハラスメント防止規程を作成することが挙げられます。就業規則中に各種ハラスメントを禁止したり、ハラスメントを懲戒事由としたりする点はほとんどの事業主様がされていらっしゃいますが、ハラスメント防止規程を設けるまでには至っていない事業主様が多いのが現状です。ハラスメント防止規程は、ただ単にハラスメントを禁止するのみならず、現に起きた場合に会社や従業員がどのように対応すべきかや相談窓口がどこなのか等を明らかにすることまで求められます。この規程を作成することで、上記②の「体制整備」の履践にもつながります。
また、上記③や④は、ハラスメントが起きた場合に事業主様がどう対応すべきかという問題ですが、これらの点につき、弊所では顧問先様限定で「ハラスメント対応セミナー」をオンラインで実施する予定です。是非ご参加いただき、「ハラスメント対策の義務化」に対応できるようご活用いただければ幸いです。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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