顧問先数以上の信頼と実績

お気軽にお電話ください!0120-77-9014
トップページ > 企業法務コラム > 労働問題・労働法コラム > 問題社員対応(解雇・退職勧奨等) > 問題社員を放置することの危険性

企業法務コラム

問題社員を放置することの危険性

投稿日:
更新日:2023/12/20
問題社員を放置することの危険性

1. 問題社員の典型的な特徴

どのような会社であっても、一度は問題社員について悩まされたご経験があるのではないでしょうか。
問題社員を放置することによるデメリットは重大なものです。
問題社員の典型的な行動は、以下のようなものですが、会社全体に悪影響を及ぼします。

・ 会社/上司に対する攻撃的な態度に終始する
・ 業務上の指示に従わない
・ 何かと理由を付けて業務をしようとしない
・ 周囲の環境に問題があるとして業務を行わない
・ 自己の非を認めず周囲の責任に転嫁する
・ 立場が下の者に対して不当な強要を行う
・ 親/配偶者が出てくる
・ 自己に有利な法律情報を収集することで理論武装している
・ ハラスメント的な行動が直らない

2. 怒りの感情に任せての一発「懲戒解雇」はNG

怒りの感情に任せての一発「懲戒解雇」はNG

問題社員の対応として最も行ってはならないことがあります。
それは、会社として問題社員の度々に渡る問題行動を我慢し続け、結果として我慢の限界を超えてしまい、急に「懲戒解雇」を申し渡すことです。
懲戒解雇が認められるハードルは、労働法上、非常に高くなっており、仮に懲戒解雇を課することがあるとしても、慎重な手続を経る必要があります。会社として、いったん懲戒解雇に踏み切ってしまいますと、後戻りはできなくなりますが、事前の準備・手続が何もなされていない状態での懲戒解雇は、無効と判断されるリスクが非常に高くなります。そうすると、会社として却って不利な状態に追い込まれてしまうことになります。このようなことは避けなければなりません。

3. 地道な「足元固め」が重要

問題社員の対応を適切に行うためには、指示に従わない問題社員には業務命令書を交付し、また、問題社員が問題行動を起こす度に、注意書・警告書を作成して交付したり、始末書を提出させる必要があります。このようなプロセスを経ることなく、即時に懲戒解雇をしたとしても、事後的に無効になってしまうだけです。
問題社員は、一言で言いますと、「会社の指示に従わない」従業員です。そこで、面倒ではありますが、「会社としての指示が正式な業務命令であることをその都度明示する」・「従業員が従わなかった場合には注意書・警告書・始末書の対象にする」ということを何回か積み重ねる必要があります。口頭・電話では証拠が残らないため、文書・電子メールで証拠化しておく必要があります。

このプロセスを何回か重ねても改善しなかった場合には、最後に退職勧奨を行うことをお勧めします。退職勧奨は、会社から強制的に雇用を解消するものではありませんが、その前段階として行うものです。問題社員がこれに応じてくれる場合には、あくまでも当人の自由な意思で退職を決断したという構成になりますので、退職合意書を締結します。

本来的には、退職勧奨に応じて退職していただくことが理想です。退職解消に応じてもらえるのであれば、それと引き換えに退職一時金等を支払ってもよいと考えられます。最後の手段として解雇があることは事実ですが、解雇まで行きついてしまうということは、裁判で争われてしまう可能性もそれだけ高くなるということです。

4. 「解雇」は最終手段

「解雇」は最終手段

退職勧奨にも応じていただけなかった場合には、残念ながら、最後の手段として「解雇」をすることになりますが、上記のとおり、「懲戒」解雇はハードルが高いという難点があります。そこで、懲戒ではなく「普通」解雇を選択することになります。
懲戒解雇は、従業員に重大な違法行為がある場合に懲戒処分として労働契約を終了させることをいいます。
他方で、普通解雇は懲戒処分ではありません。よって、従業員に重大な違法行為がなくても、普通解雇のルートによることは可能です。普通解雇には、明らかな違法行為ではないものの、能力不足・勤務態度不良・業務命令違反といったような、従業員側に責任のある事由がカバーされることになります。
勿論、普通解雇も会社からの一方的な解雇ですので、無制限には認められません。客観的に合理的な理由を欠いており、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権の濫用があるとして、普通解雇も無効になる可能性があります。
このように、懲戒解雇と普通解雇は、概念として明確に区分されているわけではなく、両者が重複するような部分があることも事実です。両社の境界線が明確になっているというイメージではなく、どちらの方法を選択するかという判断が必要になってきます。
しかしながら、実質的には、懲戒解雇の方が普通解雇よりも厳格に解釈される傾向にあり、解雇が無効とされるリスクが高くなることも事実です。
手続面からしますと、懲戒解雇・普通解雇のいずれも、解雇の手続面では大きな差異はありませんそのため、明らかな違法行為をしたというようなケースを除いて、問題社員を解雇する場合には、普通解雇によることをお勧めいたします。

5. 問題社員対応は「計画」が大切

問題社員を放置することは簡単なことですが、経営側としてのストレスも蓄積されていきますし、本来的な業務にも支障が出てしまいます。他の従業員にも悪い影響が及び、会社全体の生産性・士気が下がってしまいます。

問題社員の対応は、1日で完了するものではなく、数か月程度の期間で計画を策定して実行することになります。労働基準法から逸脱しないように進める必要もありますが、問題社員に対応するとなりますと、日頃の感情がどうしても表面化してしまい、意図せずして「行き過ぎた」対応になってしまうこともよくあります。
問題社員の対応でお悩みの会社様は、早めに当事務所にご相談ください。

ご相談のご予約はこちらから

全国対応可能・メールでのお問い合わせは24時間受付

東京・神戸・福岡・長崎・熊本・鹿児島を拠点に対応中!

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

プロフィールはこちら>>

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
https://www.kotegawa-law.com/

「問題社員対応(解雇・退職勧奨等)」の関連記事はこちら

ご相談のご予約はこちらから

全国対応可能・メールでのお問い合わせは24時間受付

東京・神戸・福岡・長崎・熊本・鹿児島を拠点に対応中!