企業法務コラム
賃金仮払いの仮処分への対応
更新日:2024/09/30
東京・神戸・福岡・熊本・長崎・鹿児島に拠点がある弁護士法人グレイスの労働法コラムです。
今回のテーマは、賃金仮払いの仮処分への対応についてです。
従業員が解雇されて納得いかないときに、会社に対して、解雇を無効だと主張して争うという話を聞いたことがあります。でも、労働者が解雇の効力を裁判で争う場合、判決まで1年程かかる場合があるとも聞きます。判決が確定するまでの間、労働者が賃金を得られないと生活することができません。無収入の中で争うのは大変でしょうから、何とかできないですかね?
そういった場合には、 賃金仮払いの仮処分を申し立てることができます。
賃金仮払いの仮処分?聞いたことがないですが、どのような手続なのですか?
賃金仮払いの仮処分は、解雇した使用者に賃金の仮払いを強制する手続です。
そんな手続があるのですね。労働者にとってはありがたい手続ですね。でも、会社にとっては、解雇した従業員に対して、賃金の支払いをしなければならないのは大変ですね。
そうですね。でも、会社も裁判所に対して、賃金の支払義務がないと主張して争うことができます。
なるほど。賃金を支払わないで済むようにするためには、会社はどのような点を主張・立証して争うのですか?
色々と戦い方はありますが、例えば、労働者が資産を保有していた、近親者の収入で生活をしていた、新たに正社員として雇用された等の主張・立証を行うことで賃金の支払いを拒むことができる場合があります。
なるほど。そういった主張・立証をすれば、会社は全く賃金を支払わないで済むようになるのですか?
会社が全く支払わないで済むようになることもありますが、実際の傾向としては、仮払金は、労働者とその家族の生計を維持するのに必要な限度の額に限定される傾向にあります。
なるほど。賃金仮払いの仮処分はどのように進められていくのですか?
仮処分の申立てがなされると、裁判所から審尋期日が指定され決定がなされます。
審尋期日とはどのような手続なのですか?
審尋期日というのは、分かり易くいうと、当事者双方のお話を聞く手続です。審尋期日においては、裁判所から和解を勧められる場合も多いです。仮処分で出された決定に対して、労働者が納得いかなかった場合に、本案訴訟といって、正式な裁判をされることもあります。ですので、長期的視野を持って、メリット・デメリットを慎重に検討した上で和解に応じるかどうか判断する必要があります。
そうなのですね。色々と教えて頂きありがとうございました。
監修者
弁護士法人グレイス企業法務部
- 本店所在地
- 〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
- 連絡先
- [代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129 - WEBサイト
- https://www.kotegawa-law.com/