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企業法務コラム

不動産にまつわる問題を弁護士が分かりやすく解説します

投稿日:
更新日:2023/12/20

1.不動産売買契約においてよくある事例~手付を交付しているので契約を解除したい~

不動産の売買契約を結んだものの、その後に気が変わったので解約したい(あるいは解約された)という事例は、売主側・買主側問わず、よく受けるご相談の1つです。

不動産に限らず、売買契約において「手付」といわれる金銭が交付されることがあります。不動産の売買や高額な目的物を売買の対象とする場合に、買主が売主に対して交付されることが多く、金銭が交付される場合がほとんどです。

手付は、当事者間に契約が成立したことを確認する役割を果たしますが、それ以上に重要なのは、一定の条件のもとで契約を解除することができる権利が留保されるという役割です。具体的には、買主は売主に交付した手付を放棄すれば契約を解除することができますし、売主は買主に対して買主から受領した手付の倍額を現実に提供すれば同じく契約を解除することができます。

もっとも、売主であれ買主であれ、その相手方が契約の履行に着手した場合にはもはや手付による解除をすることができなくなります。ここで問題になるのが「相手方が契約の履行に着手した」といえるかです。手付による解除の事例では必ず問題になる議論です。例えば、買主が代金の支払いの準備をして売主に契約の履行の催告をした場合や、建物の売買契約において売主が既に工事に着手していた場合には、「履行の着手あり」といえ手付による解除が認められません。反対に、履行の準備をしているに過ぎず、契約の履行の着手とまではいえないと判断されるケースもあります。

このように、手付を交付している契約であるからといって直ちに解除ができるものではなく、相手がその契約の履行に着手する前に手付による解除の意思を表示することではじめて契約の解除ができることに注意を要します。

2.自分の不動産が他人によって侵害される事例~他人物の無断放置~

不動産を所有している者には、所有権ゆえに認められる権利があります。その所有物の返還請求権が代表例です。それ以外に妨害排除請求権や妨害予防請求権という権利も認められています。

妨害排除請求権とは、所有者がその所有物を平穏に利用する状態を妨げられている場合に、その妨害状態を生じさせている者に対して妨害の除去を求めることのできる権利です。簡単な例としては、自分の土地に他人の自動車が無断で駐車されている場合に、その他人に対し自動車を自分の土地の外に移動させるよう求めるものです。

また、妨害予防請求権とは、所有者がその所有物を平穏に利用する状態を現に妨げられている訳ではないが、そのおそれがあるという場合に、そうならないよう相手方に求める権利です。度重なる降雨により、隣地から自分の土地に土砂が崩れてくる可能性がある場合に、その予防設備を施す等、崩落しないよう相手方に求めるのがその例です。

これらの権利は所有権に基づくものですので、所有権があれば権利行使をすることができますが、適切な手続を踏むことなく自力救済によって権利を実現することは認められておりませんのでご注意ください。

3.不動産の境界をめぐる事例~境界をめぐって隣人とトラブルになっている~

不動産の境界をめぐる事例は非常に多いです。しかも、一見、境界をめぐる紛争でないように見えても結局境界をめぐる紛争に行きつくという事例も多いです。

例えば、隣人が勝手に自分の土地の中に入り込んでくる、という単純な事例であったとしても、結局は「自分の土地の中」といえるのか、境界が違うのではないかという問題が根底にあるケースがあります。(厳密には、境界と所有権の境は異なるものですが、ここでは議論を分かりやすくするため、単純化します。)

もっとも、境界の争いは、当事者間の協議のみで解決することにあたって困難を伴うことが多いです。そこで、考えられる境界の争いを解決する代表的な手段として、①筆界特定制度と、②境界確定訴訟があります。

筆界特定制度は各地の法務局に申し立てるものであり、境界確定訴訟は文字通り訴訟ですから裁判所に対する訴えによって開始される制度です。それぞれの制度にメリット・デメリットが存在します。

筆界特定制度は、境界確定訴訟よりも比較的低廉な費用でかつ迅速に利用できます。また、必ずしも対立構造が前面に出るものでもないことから、円満な解決を求める場合に利用価値が高いといえます。また、筆界調査委員や登記官が手続に関与する点も特徴的です。もっとも、同制度によって筆界が特定できたとしても、その特定に不服のある当事者は更に境界確定訴訟で争う途も開かれているため、終局的に当事者間で紛争が解決できるとは限らない点がデメリットといえます。

もっとも、筆界特定制度における筆界の特定で事実上当事者間に争いがなくなることも多いことから、まずは筆界特定制度を利用して解決を探ることは有効な手段の1つといえます。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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