顧問先数以上の信頼と実績

お気軽にお電話ください!0120-77-9014
トップページ > 企業法務コラム > 不動産法務 > 不動産取引 > 不動産の立退きに関するトラブル対応について弁護士が解説

企業法務コラム

不動産の立退きに関するトラブル対応について弁護士が解説

投稿日:
更新日:2023/12/20

1.初めに

収益物件を購入したものの、賃借人に問題がある、賃貸している建物を取り壊して新しい建物を建てたいと考えているが、賃借人が立ち退いてくれない等不動産の立退きに関するトラブルは少なくありません。そして、このような問題への対応について多く質問を受けています。特に、建物賃貸借において。借地借家法が適用されると容易に、貸借人を建物から退去させることはできません。そこで、本コラムでは、不動産でも建物賃貸借の退去について説明したいと思います。

2.立退きが問題となるケースについて

通常、建物を第三者に使用させる場合には、その者との間で賃貸借契約を締結することになります。そして、賃貸借契約を締結後に建物の退去を求める場合には、基本的にこの賃貸借契約の内容に従い、立退きを求めることになります。具体的な相談としては、以下のケースが考えられます。

まず、賃貸借契約の内容に違反したことを理由として、賃貸借契約を解除した上で、退去を求めることが考えられます。そのほかにも、建物を取り壊したい、又は自分で使用したいといった理由で、賃貸借契約の期間満了時に更新拒絶又は契約期間中に途中解約をして、賃借人に建物からの立退きを求めることが考えられます。

3.賃貸借契約の契約違反を理由として退去を求める場合について

まず、賃貸借契約の契約違反を理由に解除するためには、その契約違反により、賃借人と賃貸人との信頼関係が破壊されているかということが問題となります。そのため、単に契約違反があるからといって、当然に賃貸借契約の解除が認められるわけではないことに注意が必要です。特に、賃貸借契約の契約違反としてよく問題となる賃料未払いについては、3ヶ月以上の滞納が一つの目安となります。

その他、賃貸借契約で定めた使用目的に反する使用をしている場合やその他の禁止事項に違反している場合は、問題となる行為について個別に検討して、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されているかを判断する必要があります。そのため、賃貸人としては、契約違反に関する諸々の事情を考慮し、賃貸借契約を解除できるかを検討した上で、実際に対応することがトラブル発生を防ぐためには重要といえます。

なお、賃貸借契約に関する違反があるとしても、それを客観的に立証できるのかという観点も重要となります。そのため、証拠を保全するための方法も賃貸人としては考えていく必要があります。

以上のとおり、賃貸借契約に違反したことイコール賃貸借契約の解除が有効という関係にはありません。したがって、トラブル防止のためにも賃貸借契約の違反を理由に解除を求める際は、慎重な判断が必要です。

4.賃貸借契約の期間の終了(更新拒絶)又は途中解約を理由とする退去について

(1) 更新拒絶について

まず、賃貸借契約の期間満了を理由に更新拒絶をする場合には、賃貸人から賃借人に対して、期間満了の6ヶ月から1年前に更新をしない旨の通知をする必要があります。

しかし、この通知をしたからといって、ただちに更新拒絶が認められるわけではありません。更新拒絶が認められるためには、「正当な事由」が必要となります。借地借家法28条では、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出」を考慮するとされています。そのため、立退料もその考慮要素の一つとなっています。そして、これらの事情を考慮し、正当な事由が存在すると認められて初めて更新拒絶が有効となるのです。

(2) 途中解約について

次に、途中解約については、前提として期間の定めのある賃貸借契約において、途中解約の条項が必要です。その上で、賃貸人から賃貸借契約を途中解約するためには6ヶ月前の解約の申し入れが必要です。ただし、この場合にも借地借家法28条により、正当な事由がなければ有効に解約することはできません。

(3) 小括

以上のとおり、更新拒絶又は途中解約により賃貸借契約を終了させようとしても、当然に終了させることは出来ません。そのため、熟慮することなく建物について普通賃貸借契約を締結するとあとで後悔することになります。そのため、契約締結の段階で、例えば、定期建物賃貸借契約(借地借家法38条)を締結することにより、賃貸借契約の終了が認められないといった事態を未然に防ぐなどの対応が必要となってきます。

5.最後に

以上のとおり、賃貸借契約は一度契約すると、賃料の未払いを理由とすること以外に立退きを求めることは容易ではありません。

建物の賃貸借契約を締結する場合には、その締結前に一度弁護士に相談の上、賃貸借契約を締結することをお勧めします。また、賃借人に立退きを求める場合にも、強制的に賃借人を立ち退かせることは出来ず、法的な措置を講じる必要があります。不動産の立退に関するトラブルはその理由も様々であることから、トラブルの予防及び解決にあたっては弁護士にご相談することをお勧めします。

ご相談のご予約はこちらから

全国対応可能・メールでのお問い合わせは24時間受付

東京・神戸・福岡・長崎・熊本・鹿児島を拠点に対応中!

【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

プロフィールはこちら>>

監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

本店所在地
〒105-0012 東京都港区芝大門1丁目1-35 サンセルモ大門ビル4階
連絡先
[代表電話] 03-6432-9783
[相談予約受付] 0120-100-129
WEBサイト
https://www.kotegawa-law.com/

「不動産取引」の関連記事はこちら

ご相談のご予約はこちらから

全国対応可能・メールでのお問い合わせは24時間受付

東京・神戸・福岡・長崎・熊本・鹿児島を拠点に対応中!