企業法務コラム
「懲戒解雇」はいつでも使うことができるのか
更新日:2022/10/24
どのような会社であっても、一度は問題社員について悩まされたご経験があるのではないでしょうか。
問題社員を放置することによるデメリットは重大なものです。
問題社員の典型的な行動は、以下のようなものですが、会社全体に悪影響を及ぼします。
・ 会社/上司に対する攻撃的な態度に終始する
・ 業務上の指示に従わない
・ 何かと理由を付けて業務をしようとしない
・ 周囲の環境に問題があるとして業務を行わない
・ 自己の非を認めず周囲の責任に転嫁する
・ 立場が下の者に対して不当な強要を行う
・ 親/配偶者が出てくる
・ 自己に有利な法律情報を収集することで理論武装している
・ ハラスメント的な行動が直らない
怒りの感情に任せての「懲戒解雇」はNG
問題社員の対応として最も行ってはならないことがあります。
それは、会社として問題社員の度々に渡る問題行動を我慢し続け、結果として我慢の限界を超えてしまい、急に「懲戒解雇」を申し渡すことです。
懲戒解雇が認められるハードルは、労働法上、非常に高くなっており、仮に懲戒解雇を課することがあるとしても、慎重な手続を経る必要があります。
会社として、いったん懲戒解雇に踏み切ってしまいますと、後戻りはできなくなりますが、事前の準備・手続が何もなされていない状態での懲戒解雇は、無効と判断されるリスクが非常に高くなります。そうすると、会社として却って不利な状態に追い込まれてしまうことになります。このようなことは避けなければなりません。
問題社員対応は「計画」が大切
問題社員を放置することは簡単なことですが、経営側としてのストレスも蓄積されていきますし、本来的な業務にも支障が出てしまいます。他の従業員にも悪い影響が及び、会社全体の生産性・士気が下がってしまいます。
問題社員の対応は、1日で完了するものではなく、数か月程度の期間で計画を策定して実行することになります。労働基準法から逸脱しないように進める必要もありますが、問題社員に対応するとなりますと、日頃の感情がどうしても表面化してしまい、意図せずして「行き過ぎた」対応になってしまうこともよくあります。
問題社員対応にお困りの顧問先様は、お早めに弊所にご相談ください。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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