企業法務コラム
カスタマーハラスメントから従業員を守るためのポイントについて弁護士が解説します
更新日:2023/12/11
第1 カスタマーハラスメントから従業員を守るために
1 カスタマーハラスメントとは
「カスタマーハラスメント」(略して「カスハラ」と表現されます)は顧客による嫌がらせを指して近時使われている言葉です。「クレーム」は顧客からの不平不満のことを指しますが、カスハラはあくまで嫌がらせを指す概念ですので、クレームが不当性を帯びるとカスハラと重なる部分も出てきます。
カスハラを議論する場合、①顧客によるカスハラにどう対応するかという観点と、②カスハラから従業員を守るためにどうすべきかという観点があります。
本コラムでは、このうち後者②について概観いたします。
2 相談体制を整備すること
カスハラを受けた従業員は、メンタルヘルス不調をきたす可能性があります。そうすると、ただ単にカスハラをする顧客への対応だけが問題となるだけでなく、従業員に対する使用者の安全配慮義務が問題となります。
パワハラ防止策の1つとして「実質的に相談が可能な窓口を設置すること」が使用者側に求められておりますが、そのことはカスハラにも同様に妥当します。そこで、従業員が相談しやすい者を相談窓口として設置することが有用です。
3 当該従業員を孤立させないこと
カスハラは、それを行う顧客が特定の従業員を標的にして集中的に行うことが多いことから、本来、会社全体の問題であるにもかかわらず、当該従業員が自らの問題として1人で抱え込んでしまい、メンタルヘルス不調に陥ることも少なくありません。
そこで、カスハラに対して毅然と対応することを「企業の基本方針」として打ち出すことにより当該従業員を孤立させないことようにすることも有用です。これにより、従業員は会社によって守られるという安心感を持つことが期待できます。
加えて、カスハラに発展する予兆がある場合には、その顧客に対しては複数の従業員で対応することも、当該従業員を守る有用な方法となります。
4 カスハラ事例の共有のための研修の実施
カスハラ対応等、現場での迅速・柔軟な対応を要求されるものへの対策につき、より効果的なのがカスハラ事例を全職員で共有する研修を実施することです。
カスハラについてはその対応についてのマニュアルを整備することの重要性が説かれますが、現にカスハラと相対峙している従業員からしてみれば、絵に描いた餅に過ぎず、現実的に利用価値のないものになりかねません。マニュアルを作成することそれ自体は確かに重要ですが、それ以上に有用なのが現に生じたカスハラがどのようなプロセスを経て生じ、それに対して初動からどのような対応を行ったことにより成功(あるいは失敗)したのかの事例共有が極めて有用といえます。
会社内で定期的にこのような研修を行うことにより、カスハラに強い企業体質を作ることができ、かつ、メンタル不調に陥る従業員も少なくなることが期待できます。
第2 弁護士法人グレイスでできるサポート内容
カスハラ対応が難しいのは、現にカスハラが起きており、その場での対応を求められるという点です。当然その前提として、どのような対応が望ましいかを現場で判断する力も求められます。どこまで発言していいのか、どこまで行動に移していいのかという点に悩むことも多いでしょう。また、カスハラは反復継続してなされる態様のものも多く、その対応だけに時間を消費してしまい、正常な業務遂行の妨げにすらなります。
そのような場合に存在意義を発揮するのが弁護士です。カスハラが起きた場合には、その窓口を当該従業員ではなく、弁護士に一本化することにより、正常な業務遂行ができる健全な状況に戻すことができます。また、弁護士に任せることにより、前述の「どこまで発言していいのか」、「どこまで行動に移していいのか」という判断も委ねることが可能となります。
弁護士法人グレイスでは、カスハラの事前予防としてカスハラ相談窓口やマニュアルの整備、研修の実施等を弁護士自身が行っております。また、いざカスハラに発展した場合における交渉窓口となるサービスも提供しております。
監修者
弁護士法人グレイス企業法務部
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