企業法務コラム
「三人寄れば文殊の知恵」のデメリット
投稿日:2023/03/20
更新日:2023/03/20
更新日:2023/03/20
「会議」は、個々人の会社への帰属意識や社員同士の仲間意識の強化、離職率低下や生産性向上等、組織の成功のためのメリットがあります。もっとも、会議の場で発言をしようと意欲がある状態を保つことは、簡単なことではありません。
カリフォルニア大学教授の心理学者アーヴィング・ジャニス氏が、集団で合意形成をすることで、好ましくない結論を導き出してしまう現象・過程を、集団浅慮(「グループシンク(Group think)」と呼ぶ提唱をしました。
同氏は、アメリカの歴史的政策決定にて、議論を重ねて失敗に至った過程を参考に、「組織の和を乱したくない」と、多数派の意見に従う同調圧力が生じる様々な要因を整理し、①リーダーの不在、②外部の意見が入らない閉鎖的組織、③雰囲気を重視した率直な意見交換の困難さ、④この人なら間違えないという発言力の強い人物、⑤納品期限の切迫のストレス、⑥結論の特定社員への影響等といった要因を挙げています。
例えば、新聞の一面記事や、「最近見つけたお勧めしたい新商品」などの上述の要因に左右されないテーマや価値観について、会議の場を模して、社員間で議論や意見発表の場を設けてみてはいかがでしょうか。
本コラムが、社内コミュニケーションの向上、働きやすい組織作りに向けて、日ごろから考える訓練の一助となれば幸いです。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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