企業法務コラム
割増賃金率の引き上げについて
更新日:2023/06/26
法改正
弁護士:戸田晃輔
これまでニュースレターの中で労働に関する法改正を度々取り扱っていますが、本コラムでも今後企業への影響が大きいと考えられる法改正を紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは中小企業における月60時間を超える時間外労働への対価の割増賃金率の引き上げです。すでにご存じの方も多いかと思いますが、大企業では既に60時間を超える労働時間の割増賃金率は50%でしたが、中小企業においてはこの適用が猶予され、1ヶ月の時間外労働が60時間を超える場合であっても、これを超えた時間外労働に対する割増賃金率は25%に抑えられていました。
しかし、働き方改革関連法により、2023年4月1日からは中小企業においても月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%となります。そのため、時間外労働が多い業種においては、人件費の増加に直結するためこの割増賃金率の引き上げによる影響は大きいです。例えば、長時間労働が多いとされる運送業界においてはこれまでと同じ業務であっても何も対策を講じない場合、人件費がそのまま増加することとなり、経営に直接影響が出ることになります。また、賃金請求権の時効も2年から3年となっていることから、今後、時間外労働に対する対価を未払いにした場合のリスクはより大きくなって来ます。
以上のとおり、長時間労働を抑制する方向に社会は動いており、長時間労働に対する規制は厳しくなっています。しかし、人手不足の状況では、どうしても長時間労働を前提とせざるを得ないといった場合もあるかと思います。その場合、法改正に対応しつつも人件費の増加や残業代リスクの増大に備え、自社の労務管理を再度点検し、必要に応じて見直すことが必須と考えます。弊所では、弁護士に加え、社労士もおりますので是非労務管理についてご相談いただければ幸いです。
監修者
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