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企業法務コラム

DX時代に対応した著作権制度について

投稿日:
更新日:2023/10/23

弁護士:赤島 篤

 

「著作権法の一部を改正する法律」が、令和5年5月17日に成立しました。複数の改正点がありますが、今回は、著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設に触れてみたいと思います。

インターネット等をはじめとするデジタル化の進展により、一般の方のコンテンツ創作や発信が容易になりました。かつて主流であった出版社のような「プロ」が創作したコンテンツのみならず、一般の方が創作したコンテンツがインタ―ネット上に掲載され、これらを利用したいというニーズが増えています。もっとも、こうしたコンテンツ等は、一部の著作権者が不明であったり、複数の著作権者がいたり、連絡がつかないこと等により、円滑な利用に結び付いていないといった課題がありました。

そこで、適法な利用を促し、それにより発生した対価を著作権者に還元する仕組みとして、新たな裁定制度が創設されました。

新たな裁定制度は、コンテンツの利用可否について著作権者等の意思が不明な著作物等について、文化庁長官の裁定を受け、補償金を支払うことで、3年を上限とする時限的な利用を可能とするものです。

これまでも、裁定制度はありましたが、裁定制度の手続が限定的で煩雑でした。新たな裁定制度は、著作権者等の意思が確認できない場合に裁定を受けることで著作物等を利用できる仕組みで、現行の裁定制度と比べて簡素で迅速な利用が可能となります。

また、現行の裁定制度は、著作権者の意思に反して裁定による利用を継続できましたが、新たな裁定制度は、著作権者等の意思を尊重し、著作権者の請求により裁定取消でき、利用は停止され、利用期間の補償金を受け取ることができます。利用停止後は、著作権者等と利用者の間の交渉ができ、新たなライセンスの機会創出に繋がり、その後のビジネスに生かすことができるというメリットがあると考えられています。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

弁護士法人グレイス企業法務部

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