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企業法務コラム

ゼロゼロ融資と中小企業に対する金融機関の動向

投稿日:
更新日:2023/11/21

 中小企業におけるゼロゼロ融資の返済が重荷となっており、元本の支払いを遅滞してしまうこと(デフォルト)が激増しているという新聞記事がありました。

 ゼロゼロ融資とは、コロナ禍にあえぐ企業のためになされた、実質無利子無担保、概ね2~5年の元本の返済猶予期間がある貸付をいいます。その返済開始時期は、令和5年7月~令和6年4月に集中しており、まさに今がその時期なのです。

 返済に窮したときは、まずキャッシュフローを改善するのが王道ではありますが、その重要なファクターとして「金融支援」があります。

 金融支援とは、何も融資だけではありません。リスケジュール(支払猶予)を始め、金利減免、デットデットスワップ(DDS)、債権放棄など様々な方法があり、これらを総じて「条件変更」と呼称します。

 ところで、「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」という言葉を聞いたことがある方もおられると存じます。これは、金融機関を皮肉った言葉です。しかしながら、その様子は変わりつつあります。

 意外に思われるかもしれませんが、金融機関は、通達によって条件変更に応じる傾向が強く、近年の統計では97%という高い割合で何らかの条件変更に応じています。条件変更の他にも、しっかりとした経営計画を立てることで、更なる融資を引き出せる場合があります。

 また、令和4年3月、アフターコロナにおいて、中小企業をいかに支援するかという観点から、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が公表されました。法的な拘束力はありませんが、多くの金融機関がガイドラインに沿っています。

 このガイドラインは公開されており、中小企業に対する金融機関の対応方針が記載されているため、重要なバンクミーティングに臨む際は、経営者や経理担当者において斜め読みしておくことが効果的です。

 他にも、ガイドラインでは、弁護士を含む外部専門家の知見を得て、金融機関が支援を行う対応が求められるものとされています。

 例えば、キャッシュフロー改善を阻害している要因として、法令違反(下請法等)の不当な取引条件を飲まされている場合や、生活費を稼ぐためだけに必要のない残業を行ういわゆる生活残業の慢性化がある場合等、弁護士の知見が有用な場合は多々ございます。

 弁護士に経営相談をするイメージの湧かない方が多いとは存じますが、企業法務に特化した弊所ならば、経営相談のニーズにもお応えできます。

 思い悩むくらいであれば、是非一度、ご相談ください。

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【著者情報】

企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)

九州大学大学院法学研究科修士課程 修了

米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業

三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務

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監修者

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