企業法務コラム
高齢者雇用の落とし穴? ~定年制度の見直しについて~
投稿日:2024/03/25
更新日:2024/03/25
更新日:2024/03/25
弁護士:柏木 孝介
[ニュースレター123号掲載]
高年齢者雇用安定法という法律の改正により、2025年4月から、65歳までの雇用確保が義務化されます。具体的には、①定年制度の廃止、②定年の引き上げ、③継続雇用制度(有期雇用など)の導入のいずれかを用意しなければならないこととなります。
ここで、昨今の人手不足の状況から、①定年制度の廃止を選択する企業もございます。確かに、高齢者の雇用確保の観点からすれば素晴らしい取り組みですが、年を重ねるとともに業務能力が低下した従業員が出てきた場合も、無期雇用の従業員を解雇することは容易ではありません。そのため、上記①は、定年制度があれば防げた紛争を生じさせる可能性もあり、慎重な検討が必要となります。
また、上記③も「継続雇用の高齢者の特例」措置の手続きを怠ると、「無期転換権」が行使され、結果的に定年のない無期雇用契約を締結するのと変わらない(上記①と同じ)状況が生まれてしまう可能性があります。
従いまして、上記①③の方法は種々の配慮が必要になります。他方で、②の方法はシンプルなため、企業にとっても予測が立てやすいといえるでしょう。定年制度の見直しを行う際は、意外な落とし穴がありますのでご注意ください。
【著者情報】
播摩 洋平弁護士
企業法務部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:33334)
九州大学大学院法学研究科修士課程 修了
米国Vanderbilt Universityロースクール(LLMコース) 卒業
三菱商事株式会社、シティユーワ法律事務所を経て、現在弁護士法人グレイスにて勤務
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