相談事例
【133】取締役が資産管理会社を設立する場合、取締役会の承認が必要か否かに関する相談に対応した事例
2020/05/18
相談分野
その他
業種
不動産業
1. 相談内容
当社は不動産の販売・管理運用を目的とする株式会社である。取締役から投資用不動産の購入・運用を目的とする株式会社を設立して代表取締役に就任したいとの要望があった。
会社としては特に問題ないと考えているが、取締役会の決議が必要か。必要だとした場合、個別の不動産の取得ごとに決議が必要か。
会社としては特に問題ないと考えているが、取締役会の決議が必要か。必要だとした場合、個別の不動産の取得ごとに決議が必要か。
2. 争点
不動産の販売・管理運用を目的とする株式会社の取締役が投資用不動産の購入・運用を目的とする資産運用会社を設立する場合、取締役が自己又は第三者のために「株式会社の事業の部類に属する取引」をしようとするとき(会社法356条1項1号・365条1項)に当たるか否か。
3. 解決内容
「会社の事業の部類に属する取引」とは、会社が実際に行っている取引と目的物(商品・役務の種類)および市場(地域・流通段階等)が競合する取引のことをいいます。
本件は、会社の目的の一部と重なる取引のため、目的物及び市場が競合する取引に当たり、取締役会の承認が必要となります。
ただし、取締役が競業会社の代表取締役に就任する場合は、包括的に取締役会の承認を受けることが通例であり、個別の取引ごとに決議を得ることまでは不要です。
本件は、会社の目的の一部と重なる取引のため、目的物及び市場が競合する取引に当たり、取締役会の承認が必要となります。
ただし、取締役が競業会社の代表取締役に就任する場合は、包括的に取締役会の承認を受けることが通例であり、個別の取引ごとに決議を得ることまでは不要です。
4. 弁護士の所感
取締役は、会社に対し、善管注意義務及び競業避止義務を負っています。
経営を委ねられたプロとしての役割が求められているものといえます。
例えば、親会社の管理職が子会社の役員に就任した場合、全く求められる役割が異なることを認識していないようなケースはよく見受けられるところです。
本件は、適切な対応ができたケースですが、新規に役員になる人物に対しては、適切に研修を実施して、自分の負っている責任を自覚してもらうことが重要です。
経営を委ねられたプロとしての役割が求められているものといえます。
例えば、親会社の管理職が子会社の役員に就任した場合、全く求められる役割が異なることを認識していないようなケースはよく見受けられるところです。
本件は、適切な対応ができたケースですが、新規に役員になる人物に対しては、適切に研修を実施して、自分の負っている責任を自覚してもらうことが重要です。
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